財産を相続する際に、無条件に財産をすべて相続することを「単純承認」といい、相続する財産に限度を設けることを「限定承認」といいます。
単純承認
亡くなった方の財産をすべて相続人が引継ぐことです。裁判所への申立てなど特別な手続きは不要です。つまり、特別な手続き(相続放棄や限定承認の手続き)をとらない相続は単純承認となります。
以下の場合は単純承認となり、自動的に財産すべてを相続することになります。
相続する財産の中に債務があり、その額が不確実な場合で、そのまま単純承認ですべて自動的に相続した場合、多大な債務を引き継いでしまう可能性があるかもしれないときには、相続する財産に限度を設けることができます。これを「限定承認」といいます。
限定承認
相続する財産の中にマイナスの財産(債務=借金)がある場合、相続人がプラスの財産(銀行預金や不動産)の限度においてのみ、その債務と遺贈についての責任を負うことを裁判所に承認してもらう手続きです。
この手続きにおいて、亡くなった方にお金を貸していた人(債権者)は名乗り出なくてはなりませんので、相続人は亡くなった方の債務を確定することができます。よって、プラスの相続財産がある場合で、マイナスの相続財産(債務額)ががはっきりしないケースでは、有効な手段です。
限定承認の手続きは、相続人全員で、相続開始を知った日より3ヶ月以内に、家庭裁判所に申立てをしなくてはなりません。
申立後5日以内に、債権者に対して債権の申し出をするよう官報に公示し、同時に相続人が知っている債権者や受遺者(法定相続人ではないが、故人の意思により特定の財産を受け取る人)に対して、個別の催告が必要です。